■木製箱トロの正体を探れ!


 国土交通省利根川下流資料室が2007年3月に閉鎖されて、加藤君やナベトロの行方が気になっていたが、そのすぐ隣りの河川敷に2010年3月27日にオープンした道の駅「水の郷さわら」の一角に展示された。元建設省利根川下流事務所のDLと2両のナベトロは以前と同じように屋外に仲良く連結されている。DLの塗装は緑が少し濃い感じがするのは展示に際して綺麗に塗られた為だろうか?駐車場のすぐ横なので一般の人にも目に留まり見て行く人が意外に多い。しかし、ここには他の展示物が隠されていたのである。
 展示車輌のすぐ横に「防災教育展示」と称した建物が建っていて、中に入るとレンタサイクルの受付やトイレなどがあり、2階では防災系の展示をしている。ざっと見て「大したことないなあ…」と思ってはいけない。実は1階奥の倉庫が展示場になっていて、そこには他の機械類と一緒に写真の木製箱トロが展示されていたりするのである。入口には目立った案内板もなく、通路の途中が曲がっていて直接見ることができない為、これに気がつく人は少ない。表の賑やかさとは裏腹に展示場内は静かだ。
 で、この箱トロは何なのか?横に設置されている説明板によれば、『1950年(昭和20年代後期)ころから1955(昭和30)年前後まで、築堤工事の土砂運搬に使用されたものです。人力ではトロッコ1台を数人で押し、牛馬1頭では、鎖でつながれたトロッコ4〜5台を引いていました。土砂の運搬は「もっこ」を使い、車両を人力で倒すことで排土していました。木製トロッコは機関車や鋼製トロッコによる土運搬へ移行する中で姿を消してゆきました。』とある。仕様として『長さ1.93m、幅1.135m、材質:松阪松角材、レール内寸法615mm』。そして最後に『寄贈 香取市 大野貞雄氏』(原文通り)。ここでトロッコのプロ(どんなんや)ならピンと来るハズである。
 2006年頃、近くにある大野酒店(線路は現存)で使用しなくなった木製平台車が利根川下流資料室に保管される事になったのある。その台車の所在と、寄贈者の「大野氏」。また大野酒店のレールは建設省の払下げ品であると言われている事などを総合的に勘案すると…、結論は堤防工事で使われていた箱トロがレールと共に大野酒店へ払下げられ、しばらく平台車として利用された後、使用休止状態だったものが建設省へ返還されたのではないか?足回りは大野酒店の台車を活用し上部は復元ではないのか?という推測が成り立つのである。
 まあ、いわばセミプロ(どんなんや!)レベルの軽探団では、この程度の推測で満足しているが、本物のプロ(だからどんなんや!!)なら「だから何?」程度のお話しである。

《データ》
■道の駅 水の郷さわら 建設機械倉庫 [保存] HP

◇佐原市佐原イ-4051-3◇佐原 歩15◇9:00-16:30・月曜日◇無料◇P
◇01:大野商店 FC(木製箱トロ 610mm)屋内展示
◇02:細谷建設工業 DL(加藤 1955年06月 41119番/B型 2.7t 610mm)屋外展示
◇03:建設省 FC(ナベトロ 鋼製 610mm)屋外展示
◇04:建設省 FC(ナベトロ 鋼製 610mm)屋外展示
◇参考文献:RM324p93(2010.06.03)・TP838p90(2010.06.16)
 

[調査日:2010.08.08]


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