■印西の木材店を探れ!

 木下は木下街道の宿場町として栄えた所で、国道356号の旧道沿いには宿場町の面影も残る。街道のすぐ北側には利根川が流れ、かつては木下河岸が
あり、銚子から水運を利用して木下から陸路で江戸へ鮮魚が運ばれた。木下(きおろし)という地名も付近で伐採された木材を河岸から川へ下ろしたところから付けられたと言う。
 木下宿近くで手賀沼から流れ来る手賀川が利根川と合流する。その手賀川沿いに港屋木材店がある。バス通りから手賀川沿いの狭い路地を入ると左手に港屋木材店の事務所が見える。この建物だけでもいい感じなのだが、肝心のトロッコはもう少し先。路地と手賀川に挟まれた空間に駐車場のような広場があり、その奥に製材所らしき建物が…、そして路地と建物の間に一筋の軌道が残されている。
 偶然隣の建物から出て来た方に挨拶して写真撮影の許可を頂いたが、すぐに何処かへ行ってしまい、詳しいお話を聞けないままの探索となった。
 軌道の長さは約30メートル。ほぼ直線で建物の中まで延びている。軌間は実測値で590mmであった。レールはだいぶ埋没しているが明確に残っていた。写真を撮影しながら奥まで行ってみると、製材所らしき建物はすでに製材所としての機能はなく、物置や車庫代わりに使われているようだ。軌道の一番奥まで来ると木製の台車が!「おっ、これは!」しかし良く見ると台車に付いているのはタイヤだった。形状は完全にトロッコなのだが…、もしかしたら車輪を外してタイヤを付けたのでは?と思うほどトロッコらしい形状だった。
 建物の向こうにはすぐ利根川につながる手賀川がある。この立地はその「きおろし」と関係はあるのだろうか?暫し観察してみたが、軌道が建物を抜けていない事とクレーンなどの荷揚げ設備の痕跡がない事から水運とは関係はないのではないかと推測した。正解はどうだか分からない。
 

《データ》
■港屋木材店 [廃線]

◇千葉県印西市大森3986◇木下 歩15
◇残存区間:製材所内◇残存距離:約0.03km◇軌間:590mm(実測値)◇動力:人力(推定)◇敷設日:不明◇廃止日:不明
 

[探索日:2014.12.30訪]




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