■ドラマになった軌道を探れ!


 蔵の街「川越」を訪れるのは昨年に続き2回目だが、今年はNHKの連続ドラマ「つばさ」の舞台となり一層人出が多くなったよう思う。蔵通り周辺は平日だというのに、あまりの通行人の多さに車もノロノロ運転。大型バスもたくさんやって来る。その中でもこの「やまわ」はヒロインの店としてロケにも使われた事や、近くに名物「時の鐘」もあり特に混雑だ。しかし、見物客は多くてもトロッコに興味のある人は少ない。渋い外観の建物をバックに記念写真を撮る人がほとんどで、店内でも食事を楽しんだり、売り物を見たりする人はいても、足元のレールには気付きも見向きもしない。軌道自体は陶器店の奥から裏口を出て小さな陶器窯まで続き、距離にして僅か17メートルだが微妙に緩いS字カーブなっていたりして意外と趣きがあるので残念である。車両は頑丈そうな鋼製の2軸台車が1両のみ。基本構造は平台車だが、トロッコ一般に見られるモノと違って台車を押す取っ手がついているのがここの特徴だ。窯から出した陶器を店内に運ぶ目的で作られているため取っ手は店に向かって押す方向についている。このような形状は他にあまり例がないが、NHKのドラマにも登場するトロッコには実物と同じ様に取っ手が付けられており、このトロッコがモデルだということが明白である。
 ここ「やまわ」のトロッコは比較的新しいと思われがちだが、敷設から約20年になるという。NHKのドラマも9月いっぱいで終了してしまい、観光客の数は多少は落ち着くかも知れないが、いつまでも頑張って欲しいトロッコだ。尚、店舗の外の窯の前は営業時間外でも軌道を見ることが出来る。

《データ》
■やまわ陶器店(喫茶陶路子) [現存] http://www.touho-yamawa.co.jp/index.html

◇埼玉県川越市幸町7-1◇本川越 歩15◇10:00-18:00・10:00-17:00(水曜日)・不定休
◇区間:窯〜店舗内◇距離:0.017km◇軌間:600mm◇動力:人力◇敷設:1989年
◆01:やまわ FC(鋼製2軸手押台車 600mm)
 

[調査日:2009.09.24]




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