■製麺所の屋内軌道を探れ
埼玉県鴻巣の旧街道沿いには今でも古い商家が残る。この鴻巣の街にもかつてはいくつかのトロッコ軌道があったと言うが、現役で残っているのはここ鷲屋製麺所だけだ。
JR高崎線鴻巣駅からプラプラ歩くこと約10分、旧街道沿いに鷲屋製麺所の店舗がある。通りに面した自家製麺を売る店舗からは、軌道がある事が想像しがたい雰囲気である。店の前まで来たところで偶然ご主人らしき方が出て来たのでトロッコの取材をお願いすると快くOKして下さった。
店舗横の製品搬出通路から中へ入ると、店舗のすぐ裏手から工場前を通り奥の倉庫まで約40メートルの軌道の軌道が現れた。軌間610mmで直線の単純な軌道である。車輌は日東製粉熊谷工場から来たという木製平台車が一台のみ。運ぶのは原料と製品(麺)、人力でトロッコを動かす。工場内にはキャスター付きの手押し台車もあるが重量物の輸送力はトロッコにはかなわない。そのあたりがトロッコが残る理由のようだ。
見学すると、だいたいこの手の台車は押させてもらえる事が多く、ここ鷲屋さんでも少し押させて貰った。(こちらからお願いするのではなく、押してみる?と聞かれるのが常である)思った通り僅かな力で車輪が転がった。工場の中では忙しそうに製麺作業をしている。トロッコ遊びもそこそこにしてご主人らしき方にお礼を告げて製麺所を後にした。
実は鷲屋製麺所にはもうひとつ隠された(実際は全く隠れていませんが…)軌道があった。通りに面した店の前にある短いレールがそれである。どうみても門扉の跡かと思いきや、以前は倉庫があってそのトロッコの名残だという事だ。是非こちらも見て欲しい。
《データ》
■鷲屋製麺所 [現存・廃線]
◇埼玉県鴻巣市人形町2-1-70◇鴻巣 歩10
◇区間:店舗裏〜工場〜倉庫◇距離:0.0393km◇軌間:610mm◇動力:人力◇敷設日:昭和20年代
◇区間:店舗前◇軌間:380mm◇動力:人力◇敷設日:不明◇廃止日:不明
《車輌データ》
◆01:鷲屋製麺所 FC(木製平台車 610mm)
◇参考:トワイライトゾーンX・旅846
[探索日:2012.04.04]