■車輌限界を探れ

 こんな原始的な鉄道が存在するのか!レイルマガジン誌上に東金の街角軌道が紹介された時は本当に衝撃的だった。その後、他の軌道が鉄道誌などでも時折紹介されたが、中でも本格的なレポートが発表されたのは「トワイライトゾ〜ンマニュアル5」だ。ここでは街中にあるトロッコは単なる簡易な鉄道という位置づけではなく、その軌道敷設の裏にはその土地のその年代の様子が垣間見られるように思った。その中で紹介されている軌道のひとつにここ加藤本店があった。
 加藤本店は加須駅から歩いて10分足らずの旧街道沿いにある。写真でも解かるように、隣家との僅かな隙間に敷設された線路が、公道ギリギリに付けられた粋な車止めの所から始まり、緩いS字カーブを描き奥の倉庫まで続く。家の隙間は軌間610mmから推測すると約1/2間(90cm)くらいか?
 線路の上を走るトロッコは線路幅より若干広い程度の大きさで、恐らく家の壁スレスレを通るのであろう、地面まで届いていない雨樋、そのすぐ下の壁に僅かに擦れたような跡…。建築限界ならぬ車輌限界がそこにあった。(台車の幅いっぱいに荷物を載せると雨樋に引っかかる?)
 訪問時、奥にご主人の姿が見えた(写真にも少し写ってます)ので声をかけてトロッコを見せて頂いた。木製の平台車で重厚感はあまりなくスッキリした作りのものだった。店から奥さんも出て来られてご主人と私と3人で話しをしながらトロッコや軌道の写真を撮影した。ご主人は会話の中でトロッコを敷いたのは昭和9年頃と言っておられたが、ご主人と奥さんの記憶には若干の差異があったがそこはご愛嬌である。どっちにしても昭和初期の敷設は間違いない。その頃の加須の街は一体どんな街だったのだろうか?店までの積荷は一体何処からどの様に運ばれトロッコに載せ変えられたのか?そんな昔の加須の光景を思い浮かべるのも楽しい。

《データ》
■加藤本店(菓子店) [現存]

◇埼玉県加須市土手1-11-25◇加須 歩10
◇敷設区間:店舗〜倉庫◇距離:0.0325km◇動力:人力◇軌間:610mm◇敷設年:1934
 

《車輌データ》
◆01:加藤商店 FC(木製平台車 610mm)
◇参考:トワイライトゾーンマニュアル5p34-49・全国軽便鉄道・旅846・RM315p140(2009.06.09)



[探索日:2008.11.04]




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