■崖上の採掘場を探れ!
秩父の山奥くの山奥く、八丁峠に程近い所にあるのが、ここ狩倉鉱山だ。山の麓には日窒工業の工場があり、そこまでは2本の索道で結ばれている。1本は鉱石運搬用で、もう1本は鉱山への資材運搬用である。
この鉱山はケイ石を採掘していて、かつてはトロッコによって鉱石を搬出していたが、現在はブルドーザーで鉱石をベルトコンベアーに落として、索道用のホッパーへと運ばれる。
一方、トロッコはというと麓から運ばれた資材を台車に載せて坑口まで運ぶ役割をしているが、あまり出番はなさそうである。距離はほんの数十メートルぐらいで、ヨレヨレの508mmの軌道のすぐ下は崖になっていて、今にも崩れ落ちそうである。
坑口は2ヶ所あり、1つは大きな岩をくり抜いたもので、入口には発破注意と書かれている。このすぐ上には露天掘の採石場があり、よく発破を使用するのだろう。坑口からはレールが出ているが5メートルぐらい出た所で切れている。その先は人一人がやっと通れるような道が続いており、やがて2つ目の坑口がある。この坑口にはベルトコンベアー坑道と書かれた看板が掛かっており、文字通りベルトコンベアーによって鉱石を搬出しているが、ベルトコンベアーの下にはかつてのトロッコのレールが残っている。このレールをたどっていくと先に述べた資材運搬用索道と交差していて、そこで資材の積替えを行っている。
とにかくこの鉱山は行ってみればそのシィナリィーの凄さに圧倒されるはずだ。一見、トロッコ等ないように見えるが、勇気を出して坑口に近付いてみよう。
※軌道、施設ともに撤去されたようです
《データ》
■日窒工業狩倉鉱業所 [現存]
◇秩父郡大滝村◇三峰口
◇区間:鉱業所内◇距離:約0.02km◇軌間:508mm◇動力:人力◇敷設日:不明◇廃止日:不明◇撤去日:不明
坑口から詰所へ向かう軌道
資材運搬用索道交差部
右側のベルトコンベアーは坑内から鉱石積替場へ続く
[調査日:1988.10.30]