■山奥の鉱山街を探る


 奥秩父で唯一トロッコらしいトロッコが走っているのが、ここ日窒鉱山だ。このあたりの集落は全て日窒の鉱山関係で、日窒以外には何もないところである。
 日窒工業資源開発事業部からさらに奥に進み、雁掛トンネルをくぐると右手に大きな鉱山が現れる。鉱山郵便局や公衆浴場などが並び、その奥の選鉱場が見える。小倉沢という流れの早い沢を渡ると途端にダートになり、ホッパーなどを見ながらゆるやかな坂を登ったところに短いインクラインがある。このインクラインの上には坑口があり、ベルトコンベアーが盛んに鉱石を運び出している。かつてはここもトロッコを使っていたようで選鉱場の中へも、レールが延びている。
 このインクラインの所から折り返してさらに坂を登ると軌道が見える。軌道はまず坑口から車庫へ延び、折り返してホッパーへと向かっている。そのため、坑口から出てきた鉱車は、機関車を先頭に車庫へ向かって走り、一旦停止してポイントを切換えてホッパーへ推進運転で向かう格好となる。車庫からホッパーまで約200m位だろうか。坑口とホッパーの間に待避所がある。
 鉱車は全てグランビー鉱車で8両で一組となっていて2台のBLでピストン輸送している。レールもピカピカに輝き活気があることを伺わせる。奥秩父では一番面白いトロッコだ。

《データ》
■日窒鉱山 [現存]

◇秩父郡大滝村中津川◇三峰口
◇区間:鉱山内◇距離:0.2km(坑外部)◇動力:直流→蓄電池◇軌間:508mm・762mm◇敷設日:不明


[調査日:1988.10.30]



  


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