■路地奥の防腐工場を探れ

 ココはまず偶然には見つけられないでしょう。両毛線と平行に走る駒形バイパスの「下大島町」信号から脇道を入り、チョチョチョイっと曲がると現れるのが佐々木木材防腐工場である。しかし曖昧な工場敷地と公道の境界線と入口に残る火事で焼け落ちた建物が侵入を躊躇わせる。しかも工場の広い入口からは軌道は見えない。だがここをクリアすると細い路地が現れ、進むと工場の建物の隙間からチラっとレールが垣間見られるのである。
 工場の向かい側にある事務所で軌道の写真撮影をお願いすると快くOKしてくれた。早速、工場内に入ると隙間から見えたレールとは別のレールも見えた。隙間から見えた軌道は軌間900mm(実測値)で距離は約20メートル。防腐剤を浸透させる釜?へと延びていた。もう一方の軌道は複線で軌間580mm(こちらも実測値)、距離は違っていて約30メートルと40メートル。こちらも何やら判らない釜へと延びている。900mmゲージの方は鋼製の台車が釜の外にあったが、580mmゲージの方は丁度、釜に入っていてどんな台車があるのか判らなかった。軌道上には動力となる機関車はない。580mmゲージの軌道末端には、ワイヤーロープ駆動のような痕跡はあったが、現在では奥の製材工場から木材を運ぶフォークリフトが台車に木材を乗せると、そのまま台車を釜へと押し込むらしい。
 一通り探索を終え事務所でお礼を告げて工場を後にした。実際、これがトロッコと呼べるかどうか微妙なところではあるが、まあここは雰囲気で…。

《データ》
■佐々木木材防腐 [現存]

◇群馬県前橋市下大島町577-2◇前橋大島 歩20
◇敷設区間:工場内◇距離:0.02km(900mm軌道)・0.03km,0.04km(580mm軌道)◇軌間:900mm・580mm◇動力:フォークリフト
 

[探索日:2012.08.24]




inserted by FC2 system