■老舗石材店の宝物を探れ!


 高崎駅西口から5分ちょっと歩くと「あら町」あたりに入る。ここから本町あたりまで北へ約1km程が旧繁華街である。再開発で建替えられた建物や昔のまま残る古い土蔵、更地にして駐車場になっているところなど混在した商店街を形成している。その商店街の片隅に老舗の石材店「藤澤石材店」がある。創業は弘化2年(1845年)というからもう160年以上になる。その石材店にトロッコの線路が残っている情報を得たので出かけてみた。
 高崎駅から歩いて10分弱、目的の石材店はすぐに見つかった。通りに面したところから奥へ向かって一直線に軌道が延びている。訪問した時、ちょうど人影が見えたので声をかけて、写真撮影の許可を頂いた。早速、撮影にとりかかると声をかけられた。お話しを伺うと、どうやらこの店のご主人のようだ。トロッコのことや店の前を伊香保へ行く軌道(資料によれば1953.07.01廃止)が走っていたこと、この前もマニアが来たことなど色々と話して下さる。話し好きで気さくなご主人だ。
 軌道は店の入口から奥へ向かって若干下っていて、重い石を載せた台車は少しの力で動かせたという。その台車も残っていた。塀に立て掛けられ、手前に資材を置かれてしまっているので取り出せない状態であるが、レールに乗せれば動きそうな感じだ。私が写真を撮っているとご主人が次々と案内してくれる。相槌をうちながらシャッターを切る。店の裏から奥まで色々と紹介してくれる。その中には、ここの軌道とは関係ない「鉄系グッズ」(ここの最大の宝物かも知れない)が隠されていた。それは…、答えは現地でご主人に案内して頂いて下さい。ちょっとビックリですよ。
 尚、ご主人の話しでは「もとまち(本町?)のお茶屋さんにもトロッコがあるはずだよ。ウチと違って表通りからは見えないけどね。」とのこと。今日は時間がないので帰るが、また高崎へ来る理由ができた。
 最後にお礼を言って高崎駅へ歩き始めた時、背後からご主人が走って来て「これ良かったら持ってって」と言って日本手ぬぐいを差し出した。全く恐縮することしきり。有り難く頂いて店を後にした。帰宅後開けてみると藤澤石材店オリジナルの手ぬぐいであった。
 ご主人のペースに飲み込まれていた自分が高崎駅でふと我に返った。しまった!肝心の軌道の敷設時期と休止時期を聞いない!ゲージも計測してないや!あっちゃ〜、再調査しなきゃ!

《データ》
■藤澤石材店 [廃線・保存]

◇群馬県高崎市あら町59◇高崎(西口) 歩10◇9:00-18:00・無休
◇残存区間:店舗敷地内◇距離:約0.02km◇動力:人力◇敷設日:不明◇廃止日:不明
◇01:藤澤石材店 FC(木製平台車)
 

[調査日:2009.08.27]

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