■大谷の地底採掘場を探れ!

 まずここは一般者は立入禁止区域だと言う事を断っておく。
 栃木県宇都宮市大谷地区は大谷石の産地として栄えた地域だが、今では石の需要が減り、かつての採掘場の大部分は閉鎖されている。一部、大谷資料館など一般に公開されている部分もあるがほぼ全域に渡って立入りが禁止されている。
 大谷石と言えばトロッコ好きならまずは宇都宮石材軌道を思い浮かべるだろうが、大規模な運搬軌道の他にも採石場から石を運び出す目的で敷設された石材店独自の軌道も多く存在していたようだ。その軌道跡の一部を垣間見る事ができるツアーに参加してみた。
 ツアーを企画しているのは宇都宮市のろまんちっく村内に本社営業所を構える「えにしトラベル」(株式会社ファーマーズ・フォレスト)だ。詳しくはホームページを参照して頂くとして、数あるツアーの中から今回参加したのは「大谷地底探索と里山ハイキング」の半日コースで費用は7560円。意外と人気のツアーでホームページを丹念にチェックして休みの予定と空き状況を見ながら機会を待った。仕事が休み予定だった2015年11月28日午後のツアーが空席1名の表示だったので慌てて申し込んで参加することができた。
 当日は宇都宮駅西口で拾っていただくよう申し込むと、駅の集合は私だけであった。残りの参加者はろまんちっく村の集合である。
 ろまんちっく村は大谷地区に近い道の駅で売店、温泉施設などが揃う。その一角にツアー用のバスが待機していた。参加者全員が揃い定刻になると大谷地区へ向けて出発。最初の注意事項で場所が特定できるような情報発信は控えて欲しいとの案内がある。大谷地区のいくつかのポイントを回り最後にD石材店の採掘場跡に入った。坑道に入る前に周囲の里山ハイクを行ったがバスを降りた所に坑口があり、実はその坑口こそがD石材店の石材搬出用の坑道であった。ツアー当日は雨水で水没して軌道を見る事が出来なかったのが残念であった。
 採掘場跡を巡り最後に立坑部分に来ると写真の光景になる。立坑で採掘された大谷石がこの軌道のトロッコに載せられて先に見た坑口へ搬出されてトラックに積み替えられていたそうである。現在は坑道内の一部が崩落していて通行は出来ないがレール自体は今でも繋がっている。立坑から坑口までの距離は推定だが50〜60メートルくらいではないだろうか。
 トロッコネタが一番濃いのはこの部分だが、ここ以外にも立坑上には軌框、採掘場入口には曲がったレール、採掘会社社長宅の周囲にはトロッコ用レールを利用した柵なども見ることができる。
 また、同じ大谷地区で資料館で採掘場を公開している栄商店の非公開部分にも軌道跡があるようだ。もしかしたら他にも軌道跡が残っている可能性はあるかも知れない。今回は会社名と場所の公開を控えたが、採石場周辺は立坑などもそのまま残されており立入りは大変危険なので絶対に立ち入らないで頂きたい。


《データ》
■D石材店 [廃線]

◇栃木県宇都宮市大谷地区◇宇都宮 バス(大谷)
 
 (ろまんちっく村)

 ※えにしトラベルHP

《参考》
ブログ軽探団 大谷地底湖探検ツアーを探る
WEB軽探団 大谷資料館

[探索日:2015.11.28]




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