■国内屈指のタングステン鉱山跡を探れ

 茨城県の山奥にあった国内屈指のタングステン鉱山である「高取鉱山」の存在を知ったのはマガジン誌の記事であった。しかし当時は今のように情報が豊富ではなく、場所を特定するのでさえ苦労したのである。
 手元に詳しいメモが残っていないので訪問日が特定できないが、1987年頃に行った茨城の鉱山巡りの一環で立ち寄った時のレポートである。大学を卒業する頃になると車の免許を取得する者も多くなり、少しずつ車で出掛ける機会が増えたが鉄道旅行と違って切符などの証拠品が残らず、従って訪問日も特定できない、と言う事になる。この日は久慈地区にある「めのう鉱山」でスカを喰らい栃原金山で持ち返した後、高取鉱山を目指したのだった。
 七会村内の幹線道路を彷徨っていると道端に小さな「高取鉱山→」の看板(現物は縦書き)を奇跡的に発見。車一台がやっと通れる山道を進むとドン詰まりに高取鉱山が現れた。
 坂の下に車を停めて歩いて鉱山へ向かう。しかし、現役鉱山を期待していたが何となく雰囲気が怪しい。すぐに軌道を発見し、辿って行くと坑口があった。どうも廃坑になって後始末の作業をしている様子だった。軌道途中には鉱山事務所、BLの車庫などがあり、車庫の中には廃材に埋もれたBLも残っていたが廃坑になったのは明らかだった。非常に残念である。
 軌道は坑口から単線で事務所前、車庫前を通りズリ捨て場まで続いていた。坑口付近の軌道は撤去された部分が多かったが、途中の軌道はほぼ残っていた。距離は200メートルだったように記憶しているが定かではない。
 アップにあたってWEBで探ってみると、1986年に休山となったようで、訪問はその直後という事になる。
 昨年、再訪してみたが現在、鉱山を管理しているのは資源環境センターという会社で鉱山の入口は門で閉じられ、「立入禁止」の注意書きがあった。
 尚、現在の行政区域は城里町になっていて、地図上で見ると最寄駅は茂木駅になるが、笠間駅から茨城交通バスが一日2便出ている。(平成23年3月時点)

《データ》
■千歳鉱山梶@高取鉱山 [廃線]

◇茨城県西茨城郡七会村塩子岩谷◇笠間 バス50(高取入口)→歩5
◇残存区間:鉱業所内◇軌間:500mm◇動力:蓄電池◇敷設日:不明◇廃止日:不明
◇参考:RM015p40-44・全国鉱山鉄道資2
 

《残存車輌データ》
◇01:高取鉱山 12 BL(日輸 1957年/B型 500mm)

[探索日:1987年頃]




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