■高萩の炭礦資料館を探れ!


 九州の筑豊と比較すると常磐の炭鉱群のトロッコ保存率は低いように思う。特に茨城県には大きな資料館がなく金属鉱山の日立鉱山記念館を除くとココくらいか。ネットで鉱車が展示されているのを知り2018年3月に高萩へ向かった。
 常磐線高萩駅の西方約4km、かつて高萩炭礦があった場所の近くに菊池寛実記念高萩炭礦資料館がある。菊池寛実は高萩炭礦の創始者である。
 資料館の前まで来ると…、資料館は展示物の入れ換えとかで休館中。しかし鉱車は屋外にあった。コンクリート打ちの地面に置かれた枕木に犬釘でレールが固定され、その上に鉱車が3台と坑木運搬用と思われる台車が1台ある。そしてそのレールの延長線上には斜坑などで鉱車を巻き上げる滑車が置かれて雰囲気を演出していた。
 鉱車は綺麗に黄色く塗られて番号が書かれている。428、118、408…、実際の車番かどうかは分からないがリアリティは感じる番号だ。台車は台枠に36の番号が刻まれていた。これは実番であろう。
 資料館が休館中で訪問者がいないので気兼ねなく鉱車近くで観察した。鉱車の台枠には日立の社紋に似たマークや「60.11」「60.10」の文字がある。マークの輪郭は日立と同じだが、中は「立」ではなく「王」か「金」のように見えた。「60.11」は製造年月でだろうか?鉱車は長いのが2両、短いのが1両。軌間は610mm。
 後日、改めて資料館を訪問。館内には高萩炭礦に関する資料が展示されていたが、車輛は屋外の4両のみ。その代わり炭礦に関する資料が展示されていて、親切に説明もして頂ける。資料館の方の説明に寄れば近くの野球グランド1塁側の藪の中に今でも坑口があると言う。資料館を出た後に行ってみたが藪が深く断念。土場があった場所はソーラー発電施設になっているが、周囲にはコンクリート製の斜坑巻き上げ機の台座やホッパー、事務所などが残っていた。案内板の設置や見学用歩道の整備などを望みたいが…、それは贅沢か。

《データ》
■高萩炭礦資料館 [保存]

◇茨城県高萩市高萩624◇高萩 車10◇屋外展示・休館日でも見学可
 

《車輛データ》
◇01:高萩炭礦 118 FC(鋼製2軸鉱車 610mm)
◇02:高萩炭礦 409 FC(鋼製2軸鉱車 610mm)
◇03:高萩炭礦 428 FC(鋼製2軸鉱車 610mm)
◇04:高萩炭礦 36 FC(鋼製2軸台車 610mm)

参考:ブログ軽探団 春の北常陸を探る(2018.03.11)
          春の北常陸を探る その2(2018.04.01)

[探索日:2018.03.11]




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