■タダで探れる鉱山トロッコ


 常磐道、日立中央ICのアプローチを下ると日立鉱山の関連施設が見えてくる。足尾などの巨大鉱山町と同じような風景が山間に展開する。一般道に入り、日立市街とは逆の方向へ約4kmほど走ると本山トンネルの手前に日鉱記念館が現れた。
 資料によれば、ここ日鉱記念館は日立鉱山創業80周年を記念して、1986年に日立鉱山跡地に建てられた新日鉱グループが直接運営する博物館である。展示内容も豊富で規模も大きいが入館料は無料だ。また敷地内には2基の竪坑のヤグラや、坑口の跡などが残り、鉱山操業当時の様子を窺わせる。
 駐車場に車を停めるとすぐ目の前には鉱山資料館が建っていたが、とりあえず受付のあるメイン施設、「日鉱記念館」へ向かった。途中、竪坑の下にBLが見える。その向こうにはマニア一番のお目当て「13号電機」もある。受付で住所と氏名を記入する。またここに戻るのも面倒なので記念館から回った。
 順路に従って進むと、流石に自社の施設だけあって様々な資料や展示物が続く。特に日立鉱山の写真パネルにはトロッコが写っているものも多く、見ていて飽きない。中には怪しげなトロッコのある実験農場の写真もあった。(ちょっと探ってみたい…)記念館周辺の昔の写真や図もあり何処に線路があったのかハッキリとわかる。更に記念館奥の一段下がった所には鉱山系展示施設にはお約束とも言える「模擬坑道」があり、小型のBLと鋼製鉱車が展示されていた。
 屋外に出ると先ほどチラッと見た13号電気機関車がある。屋外展示ながら屋根もあり状態は◎だ。他にもBLや鉱車など展示されているが、どれも手入れは行き届いていて状態はいい。一通り写真に収めたが、陽射しが強い部分と影の部分の差が極端すぎていい写真が撮れなかった。
 最後に鉱山資料館に入る。木造の古い大きな建物で鉱山当時のものだ。機械工場系の施設だったのだろか、中には重量物を移動させるクレーンも残っている。色々な機械類の展示物が並ぶ片隅に斜坑用の人車と機械系トロッコのローダーがあった。屋根にある採光用窓から適度な光が差込み、屋内ながらストロボなしで綺麗な写真が撮れた。
 日立鉱山で使用された軌道は508mmや500mmでもない495mmという独特の軌間が主流であった。保存されている車輌の大部分がこの495mmゲージの車輌である。鉱山資料館では展示の線路に手が届いたので実際に計測してみると、驚くほどピッタリ495mmであった。展示内容、展示車輌の状態など、何処をとっても無料施設とは思えない満足のいくものであった。
 尚、記念館周辺は整地されてしまい軌道の名残は確認できないが、記念館より一段下の駐車場中程には坑口跡がしっかり残っていて、奥のトイレ裏の地面には捻じ曲がったレールが確認できたりするのも、展示物とは違い、ここに軌道があった生の証である。

《データ》
■日鉱記念館・鉱山資料館 0294-21-8411 [保存] HP
◇茨城県日立市宮田町3585◇日立 バス30(日鉱記念館前)→歩すぐ◇9:00-16:00・月曜日,祝祭日休館◇無料◇無料P
 
《保存車両データ》
■屋外展示
◇01:日本鉱業 13号 EL(日立製作所 1910年頃 大1号 産業用 DC500V/B型 8t 762mm)
◇02:日立鉱山 BL(日立製作所/495mm)
◇03:日立鉱山 BL(日本輸送機/495mm)
◇04:日立鉱山 FC(鋼製角型鉱車 495mm)
◇05:日立鉱山 FC(鋼製角型鉱車 495mm)
◇06:日立鉱山 FC(鋼製角型鉱車 495mm)
◇07:日立鉱山 FC(鋼製角型鉱車 495mm)
◇08:日立鉱山 FC(鋼製角型鉱車 495mm)
◇09:日立鉱山 FC(鋼製角型鉱車 495mm)
◇10:日立鉱山 FC(鋼製角型鉱車 495mm)
■日鉱記念館内展示
◇11:日立鉱山 BL(495mm)
◇12:日立鉱山 FC(鋼製角型鉱車 495mm)
◇13:日立鉱山 FC(鋼製角型鉱車 495mm)
◇14:日立鉱山 FC(鋼製角型鉱車 495mm)
■鉱山資料館内展示
◇15:日立鉱山藤見斜坑 FC(人車 610mm)
◇16:日立鉱山 FC(バケットローダー太空500型/495mm)
◇17:日立鉱山 FC(バケットローダー太空600型/610mm)

[調査日:2010.03.27]


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