ストリートビューでは建物横のシャッターの下から軌道の末端が僅かに写る感じは街角軌道の類では何となく大物感が漂うのであったが、さすがにこのコロナ禍で暫く訪問を自粛していた。そして2022年末に満を持しての探索である。
インターホンを押して来意を告げると大女将らしき方が現れた。裏門へ回りますと伝えたが元店舗だった所を通していただき建物脇の通用扉から軌道上に出た。表の通りから見える隙間から途中でカーブしているのは確認済で、更に裏手の蔵、倉庫も裏通りから確認出来ていたが、カーブ奥の区間だけが未知の空間であった。シャッター扉の内側から写真を撮り始めて、カーブへ向かう。そしてワクワクしながらカーブの先を覗き込むと写真のような光景であった。店は既に廃業しているので軌道は使われなくなっているが、レールはしっかりしていて曲線の形状が…、今まで見た曲線でトップクラスの美しさだと思った。
更に奥へ足を進めると古い蔵と比較的新しい倉庫があって、その屋根の下で軌道が終わる。聞くところによると15年くらい前に商売をやめたとのことなので、少なくともそれ以上は稼働していない軌道だと思うが、レールが外れていたり埋もれていたりする箇所が全くないのが奇跡的に思えた。
コロナ禍はまだ収束したわけではないので、会話をしながらの探索は迷惑と思い、なるべく短時間で撮影を済ませた。挨拶を終え落ち着いてガラスの扉をを見ると、白いカーテンで気づかなかったが白い文字で「井上酒店」と書かれていた。店の名前や商売が何か分かり達成感で駅に向かったのであるが…、しまった！トロッコの有無を確認してない！
《データ》
■旧井上酒店 ［廃線］
◇茨城県土浦市大町5-16◇土浦 歩15
◇区間：店舗横〜倉庫◇距離：約0.04km◇軌間：508mm◇敷設日：不明◇休止日：2007頃
［探索日：2022.12.22］
