古河市で使われなくなった蔵や街並みを保存しようという活動の中、その対象となっている今城商店でかつてトロッコが使われていたことを知ったが、廃業して使用されないままの商店跡では見ることは不可能であろうと思っていた。ところが今年になってＷＥＢ上でチラホラ現われるようになったのである…。では現地を探ってみますか！という訳で電車に乗ったのである。
　ＪＲ東北線の古河駅は茨城県である。地図を見ると埼玉県と栃木県の間を割り込むように茨城県の県境が記されていて、栗橋（埼玉）、古河（茨城）、野木（栃木）と一駅ごとに県が変わる面白い区間だ。更に少し西へ行くと群馬県になり、渡良瀬遊水地を囲むように４つの県が接している。トロッコ的にも栗橋、藤岡、栃木、幸手、加須、館林なども近く、車なら効率良く巡ることが出来る地域だが、ここ今城商店跡は古河駅から徒歩５分という好立地にあり電車での探索も楽チンだ。
　今城商店がある本町地区は現在、道路の拡幅工事が行われていて、沿道の古い建物の一部は建物ごとセットバックさせる作業をしているところもある。今城商店前も拡幅工事中で、道路に面している建物は拡幅工事に伴う移設工事のようだ。そのシートの被った建物のすぐ裏側からかつて使用していたトロッコの線路が奥の蔵に向かって延びている。
　残存する軌道は敷地内に約30メートル。かつては商店内の中央から奥の蔵まで延びていたという。軌間は実測値で590mmで、動力は規模と印象から推測して人力であろう。通りに面した店蔵は明治初期のものだというがトロッコはいつ頃から使われていたのか不明である。
　現在、今城商店跡は保存に向け、震災で被害を受けた建物と合わせて修復整備作業を行っている最中だ。修復後は公開されるようなので楽しみにしたい。

《データ》
■今城商店跡　［廃線］
◇茨城県古河市本町1-4-10◇古河　歩5
◇残存区間：商店敷地内◇残存距離：約0.03km◇軌間：590mm（実測値）◇敷設日：不明◇廃止日：不明
　

［探索日：2012.04.15］