■サブロクくねくね軌道を探れ!

 はっきりとしたデータが残っていませんが、訪問したのは1979〜1981年の間です。日差しが強く強烈に暑い夏休みの一日でした。この鉄道を知ったのは、確か「蒸気機関車」という雑誌にほんのチョットだけ載った、名取氏の専用線レポートで紹介されてた記事を読んだような記憶が薄っすらと…。(違ったかな…?)
 常磐線の四ツ倉から鉱山のある玉山まで延びていた石灰石運搬用の専用軌道です。軌間は1067mmですが、葛生よりもトロッコ色が強いです。(と言っても葛生をナマで見ていませんが…)
 軌道は四ツ倉駅近くの大きなセメント工場の裏手が起点でした。セメント工場を迂回してのアプローチです。四ツ倉駅を降りて南へ進み踏切を渡って暫く行くと軌道が見えました。軌道に沿った真夏の田舎道をトボトボと歩きました。当初は終点の玉山まで行くつもりでしたが、あまりの暑さに断念し中間地点にある交換施設の信号所で引き返したのでした。当時は帽子もロクに被らず、水分補給も適当でしたのでヘロヘロになって四ツ倉駅まで戻って来ました。
 車も人通りもない道を歩きながら、機関車の音が聞こえるとカメラを向けて撮影しました。撮影ポイントなど全く定めていませんでしたので撮影も行き当たりばったりです。4枚の写真が残っていますが撮影したのは上下各1列車のみのようです。
 線路は元ナローの軌道だっただけあって所々で微妙なカーブをしていたりします。列車の本数や長さ、車輌の種類、周囲の風景など、線路の幅が1067mm以外は軽便的でした。
 写真でも分かるように機関車はL型のスイッチャー程度のDLです。貨車は腰の高く荷台が傾いて鉱石を落とすダンプ式で8両編成です。当時は国鉄の貨車が乗り入れたわけではなく、四ツ倉駅からセメント工場へ乗り入れていた貨物線とは別モノの路線のようでした。軌道の全盛期の様子は知りませんが、1067mmになった理由が良く分かりません。規模的には葛生と同じ762mmくらいが似合いそうです。
 訪問した何年後かに常磐線の車窓からセメント工場を見たら工場は操業していないように見えました。後で調べたところ、廃止は1982年ですので廃止する少し前の訪問という事になります。また、2009年に八茎鉱山やSMCコンクリート工場を訪れた際に線路のあったあたりを車で流しましたが線路は完全に撤去されていました。

《データ》
■玉山鉄道 [現存] 廃止・撤去

◇福島県いわき市四倉町◇四ツ倉
◇区間:四ツ倉〜玉山◇距離:6.1km◇軌間:610mm→1067mm改軌(1958年)◇動力:馬力→内燃(1958年)
◇敷設:1909年◇休止:1952年◇再開:1958年◇廃止:1982年
 

 


[調査日:1980年前後]




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