■猪苗代の保存車を探れ!

 かつて磐越西線の川桁駅から沼尻までの15.6kmを結ぶ軽便鉄道があった。その鉄道は『日本硫黄耶麻軌道部』として1913年に開業し、その後は『日本硫黄沼尻鉄道部』『日本硫黄観光』と名称変更し最後は『磐梯急行電鉄』となって1969年に廃止となった。一般には『沼尻鉄道』と呼ばれるが、最後の名称は電車も急行も走る事もない、なかなかトリッキーな鉄道名であった。
 鉄道廃止後、この沼尻鉄道の車輛が沼尻温泉街の一角に放置に近い状態で保存されていた事はマニアの間では良く知られていた。今ではその車輛達が整備されて猪苗代緑の村に保存展示されている。施設は12月から4月中旬までの冬季は休業となるが屋外展示の為、いつでも見る事が出来る。まだ休業中の4月初旬に現地を探索してみた。
 普通に現地を訪れるには猪苗代駅からタクシー利用が便利であるが、最寄駅はひとつ隣の翁島である。この日は持参したチャリで翁島駅の北側を通る県道7号を東へ進み、途中の十字路を磐梯山方向へ曲がり緩やかな上り坂を行くと右手に施設が見えて来た。翁島駅から3km弱の距離だろうか。
 緑の村の前まで来ると駐車場の鎖は半分開けられていた。どうも再開準備の作業をしているようで建物の中に人の気配がある。特に立入禁止の注意書きもないので開けられた駐車場の入口から敷地内へ入った。駐車場の片隅に翁島駅の旧駅舎があってその裏手の一段高い場所に茶色い機関車の姿が見えた。後ろには2両の客車を従えている。
 機関車は協三製の12トン。客車も台車を履いたボギータイプ。軽便鉄道とは言え大きい印象であった。
 機関車の前面に「祝100年」の飾りが付けられている。探索したのは2014年で開業の1913年から100年後の2013年に付けられたものが越冬したようだ。鉄道廃止後すでに50年近く経っても、磐梯山の麓で綺麗に整備されている沼尻の形見が残されているのを見ると嬉しく感じのであった。


《データ》
■猪苗代緑の村 [保存]

◇福島県耶麻郡猪苗代町大字長田字東中丸344-4◇猪苗代 車5
 
《車輛データ》
◇01:磐梯急行電鉄 DC121 DL(協三工業 1953年/C型ロッド式 12t 762mm)
◇02:磐梯急行電鉄 ボサハ12 PC(丸山車両 1928年/木造ボギー 762mm)
◇03:磐梯急行電鉄 ボサハ13 PC(丸山車両 1928年/木造ボギー 762mm)

[探索日:2014.04.08]




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