■温泉町の斜坑を探れ

 震災後1年。いわき市の石炭・化石棺を探索してみた。元常磐炭礦だった敷地に建つランドマークの竪坑のやぐらは常磐線の車窓からも良く見える。震災の影響か駐車場の車も館内の見学者も疎らである。ここは文字通り炭鉱に関する物といわき市で発掘される化石を展示する施設であるが、目当てはトロッコなので化石のあたりは軽く流して進む。
 館内の炭鉱関連展示エリアには模擬坑道などもあって木製と鋼製の鉱車が各1両あった。木製の鉱車は全く痛みがないので復元したもののようで、この鉱車だけが508mmゲージである。
 屋外には日本輸送機製の防爆型のDL、日立製作所製のBL、常磐製作所製の鋼製鉱車が展示してある。DLは6tだがオープンキャブなので小さく感じる。BL、鉱車と全て綺麗に黄色く塗装されていて手入れされている感じであった。駐車場の裏手には石炭積出坑口が残るが、フェンスが張ってあり近づくことが出来ないので離れた所から見るだけだ。
 更に施設裏手の一般道を潜り階段を登ると常磐炭鉱第六坑人車斜坑の坑口が残っている。ここは石炭の搬出、資材の搬入とは別に人車専用の斜坑だったようで、復元された木製人車が展示されている。地中に向かって斜めに敷設されている軌道の角度に合わせるように人車の座席も雛壇状になっている。人車は3両あって太いワイヤーで固定されている。坑口を覗き込むと10メートルくらい入った所で塞がれていた。探索時、丁度人車の補修作業中であった。車輌が少し綺麗すぎて復元感が出すぎてしまっている。しかし、鉱山関連の車輌はたくさん見てきたがこの様な木製の斜坑人車というのは珍しいのではないだろうか。鋼製で屋根が付いているのが一般的の様な気がする。
 ここで展示されている車輌は復元したものを含めて全8両。常磐炭鉱は規模が大きかった割りに残存車輌が少ない。貴重な車輌だけにみろく沢と併せて大切に残して頂きたいと思う。

《データ》
■いわき市石炭・化石館 0246-42-3155 [保存・廃線] HP

◇所在地:福島県いわき市常磐湯本町向田3-1◇交通:湯本 歩15
◇開館時間:9:00-17:30・第3火曜日◇入館料:\630(JAF割引あり)◇Pあり
 
《保存車輌データ》
◇01:常磐炭鉱 DL(日本輸送機 1959年/防爆型 B型6t 610mm)
◇02:常磐炭鉱 BL(日立製作所 1962年/B型4.5t 610mm)
◇03:常磐炭鉱 6125 FC(常磐製作所/鋼製鉱車 610mm)
◇04:常磐炭鉱 FC(鋼製鉱車 610mm)
◇05:FC(復元 木製鉱車 508mm)
◇06:FC(復元 木製人車/2軸 610mm)
◇07:FC(復元 木製人車/2軸 610mm)
◇08:FC(復元 木製人車/2軸 610mm)

◇参考:TF322・RF485・RF555・全国保存鉄道2・全国軽便鉄道・全国鉱山鉄道

[探索日:2012.03.16]




inserted by FC2 system