■磐城塙駅近くの製材所跡を探れ!


 磐城塙は林業の街であるが、今では林業も衰退して、かつての製材所の多くは閉鎖されてしまった。街の中心地である水郡線の磐城塙駅近くの大規模な製材所も閉鎖されて別の事業に転換した所もあった。
 特徴あるデザインの駅舎から街へ出るとすぐ右手に製材所があるが、敷地の大部分は太陽光パネルが設置され製材所としての機能は僅かである。さらに線路沿いの道を歩いて行くと完全に廃業した製材所の建物だけが続くが、その建物が途切れると一気に視界が開けて広大な敷地が広がる。そしてその敷地の中に3線の軌道跡が見えた。各軌道は完全に独立していて直線のみ。平行に敷設されている。残存している軌道は全て10メートル程度であるが以前はもう少し距離があったように思える。軌間は実測値で963mm〜973mmでやや誤差があるものの、一応同じ軌間と考えて良さそうだ。
 軌道の用途は防腐処理加工の装置用と推定できる。動力は距離が長い場合はワイヤーロープが良く見られるが、この程度の規模だと人力か、若しくはフォークリフトの可能性が高い。
 チョット失敬して製材所を探ると扉に「高伸木材」と記された事務所があった。しかし作業場に残されたフォークリフトには「三星製材所」の表記。一体どちらが正解なのか。軌道で使われたトロッコは発見できなかった。
 活気が無くなった街の真夏の製材所跡。時折熱い風が弱く流れて遠くから蝉の声だけが聞こえて来るだけだった。

《データ》
■磐城塙の製材所跡 [廃線]

◇福島県東白川郡塙町大字塙字材木町81◇磐城塙駅前
◇残存区間:製材所内◇残存距離:0.03km◇軌間:963mm(実測値)◇動力:不明◇敷設日:不明◇廃止日:不明
 

[探索日:2015.08.08]




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