■坂道を登って登り窯を探れ

 喜多方駅前でレンタサイクルを借りて向かった。蔵の町喜多方の市街地から外れて米沢街道を北東方向へ行き、山裾が近付いて来たあたりで右手に目をやると山の斜面をよじ登るような建屋が見える。レンガの煙突もチラリと見えて、一見して分かる目指す登り窯だ。すぐ隣りに喜多方市高齢者生活活動センターがあるので、それを目印に行くといい。
 すると樋口窯業と書かれた古い建物があって、隣りが喜多方市煉瓦館、その隣りが喜多方市高齢者生活活動センターである。煉瓦館と高齢者生活活動センターの間の坂道を登ると登り窯の上部に辿り着ける。登り窯自体は樋口窯業の所有であるが、管理は高齢者生活活動センターが行っているそうなので、見学はその事務室に申し込むようになっている。とは言え訪問した時は誰も居なかったので、窯の上部の入り口の部分だけチョットお邪魔して写真だけ撮影しました。(不法侵入や!)
 軌道をざっと見ただけだが、トロッコは無くレールも約5メートル程で途切れていた。軌間は実測値で495mmであった。
 煉瓦館のところに登り窯の説明板があった。それによれば、登り窯は明治23年(1890年)に築かれ、昭和45年(1970年)に閉鎖されたという。窯は80年続いたことになるが、トロッコに関する記述はなく、開設当初からあったのかどうかは分からない。
 現地へ行ってみたものの、結局詳細は分からず、ほんの僅かなものだったが、こんな軌道跡を見られるだけでも嬉しくなってしまうのである。心なしか帰りの自転車のペダルも軽くなった。
 尚、最近、窯に再び火が入ったと聞いた。トロッコも再び…?そりゃ無理か…。

《データ》
■樋口窯業 三津谷登り窯 [廃線]

◇福島県喜多方市岩月町宮津字火付沢3564◇喜多方 北東5.5km
◇残存区間:窯の上部◇残存距離:約0.005km◇軌間:495mm(実測値)◇敷設年月日:不明◇1970年休業
◇参考:Tr438

 

[調査日:2011.09.02]




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