■駅前保存蒸気を探れ

 以前、小坂鉄道の小坂駅前に軽便蒸気と客車が保存されていた。小坂鉄道が1067mmに改軌される前、762mm時代に使用されていた11号機関車と貴賓車のハ1である。機関車は軽便機とはいえ20トンの比較的大型の部類に入る。その機関車を探る為に大館から小坂鉄道に乗り込んだのは1983年のことだった。鉄道に乗ること自体は好きなのだが乗りつぶし目的では旅していないので、この機関車が保存されていなければ小坂鉄道には乗らず仕舞いだったかも知れない。当時は情報が入りにくい時代だったので現地に行ってみるまでは状況が良く判らなかったが、列車を降りて小坂駅前に出るとすぐに発見できた。屋外展示ではあるが屋根があって保存状態は良い。逆に回りに囲いがないので撮影には都合がいい。
 保存してある機関車はボールドウィンの複製品の雨宮製であるが、改軌される1962年まで使用されたという。またハ1は一般的には1916年製と言われているようだが、当時の現地の説明板には明治41年(1908年)2月の製造とあった。
 今回アップするにあたって探索時の記憶を辿ってみたが、道中の小坂鉄道や折り返しの間、この機関車の写真撮影の他は何をしていたのか?全く思い出せない。当時、折り返しは1本落としのプランを組んで街歩きを基本としていたが意外とあっさり見つかったのと、周囲に見るべきポイントがなさそうだったのでトンボ返りしたのかも知れない。 
 尚、現在は近くの小坂町総合博物館郷土館に移転し、鉱山用トロッコなども加わり昔と同じように大事に保存されている。

《データ》
■小坂駅前 [保存]

◇秋田県鹿角郡小坂町◇小坂 歩すぐ
 
《車輌データ》
◇01:小坂鉄道 11号 SL(雨宮製作所 1926年3月 339番/C型タンク 20.8t 762mm)
◇02:小坂鉄道 ハ1 PC(日本車両 1908年2月/木製2軸 762mm)
 

[探索日:1983.09.07]




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