■小坂町の郷土館を探れ!


 鉱山の街「小坂」。鉱山が閉鎖され、同和鉱業鉄道も廃止されてすっかり寂れてしまったが、小坂町立総合博物館郷土館には軽便時代の小坂鉄道の車輌と共に鉱山用の車輌が保存されていると聞いて、青森探索の際、弘前から車で足を延ばしてみた。
 東北自動車道の小坂ICから坂道を下って旧小坂駅があった方へ行くと右手に総合博物館郷土館が現れる。駐車場に車を停めて雨の中を小走りで郷土館の中へ入った。入館料は300円。私以外に見物客はなかった。
 館内には鉱山と共に発展した小坂町の資料や鉱山に関する資料、写真などが多く展示されているが、今日のお目当ては屋外にある鉱山用車輌たちだ。裏口から傘を差して外に出た。以前、小坂駅前にあった軽便時代の蒸気11号機とハ1型客車もこちらに移転していて、その展示場所には旧小坂駅の駅舎も移築されていた。そしてその横の広場に鉱山用の車輌があった。
 鉱山用の車輌は無造作に置かれていた。保存展示というにはあまりにも放置風。一応レールが敷かれていて、その上に載せられているが一部は脱線していたり、植物に覆われかけていたり…。車輌の説明板など全くないが、ホントに展示なのか?
 軽便時代の小坂鉄道の車輌を除くと鉱山用車輌は全部で6台。いずれも軌間610mmで恐らく小坂鉱山のもであろう。日本輸送機のBLをはじめ、鋼製鉱車2、ローダー2、坑木運搬用と思われる台車1。BLは水色、坑木車は朱、他は黄色に塗装されているがこれはオリジナルかどうか?
 それにしても展示方法はこれが最終的なのか?それとも次のステップへ進む一時的なものか?訪問時から既に1年半の時が経過している。現状がどうなっているのか分からないが、小坂鉄道の軽便車輌は「小坂レールパーク」へ移転されたようだ。軽便車輌は秋田県指定有形文化財に指定されていて、それに比べれば価値の低い車輌かも知れないが大規模鉱山ながら残存車輌が少ない小坂鉱山の貴重な残影である。もう少し大事に扱って欲しいなあ…、そう思いながら郷土館を後にした。


《データ》
■小坂町立総合博物館郷土館 [保存]

◇秋田県鹿角郡小坂町小坂字中前田48-1◇十和田南 バ(小坂)→歩すぐ
◇9:00-17:00 月曜日・12/20-3/10休館◇無料P
 

[探索日:2012.11.06]

《車輌データ》(2012.11.06現在)
◇01:小坂鉄道 11号 SL(雨宮製作所 1926年 339番/C型タンク 20.8t 762mm)※
◇02:小坂鉄道 ハ1 PC(日本車両 1916年/木製2軸 762mm)※
◇03:小坂鉱山 5号 BL(日本輸送機/610mm)
◇04:小坂鉱山 2 FC(鋼製2軸坑木運搬車/610mm)
◇05:小坂鉱山 4 FC(ローダー/610mm)
◇06:小坂鉱山 6 FC(ローダー/610mm)
◇07:小坂鉱山 FC(鋼製2軸鉱車/610mm)
◇08:小坂鉱山 FC(鋼製2軸鉱車/610mm)
※小坂鉄道11号機、ハ1は小坂レールパークに移転

◇参考:全国軽便鉄道・全国保存鉄道2・鉄道番外録2他
◇関連記事:ブログ軽探団「軽探団 北東北を探る」2012.11.08


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