■貨物ホームから延びる直線軌道を探れ!

 


 1986年3月28日、東北タンカル工場を訪れた。既に鉄道誌でも紹介されて一般にも知られていた軌道である。
 大船渡線の陸中松川駅の端にあった貨物ホーム上から一直線の工場まで延びた軌道は、エンドレスロープを動力として台車で製品輸送を行っていた。現在では工場は閉鎖されてしまったが、工場施設は旧東山町へ寄贈され「石と賢治のミュージアム」として整備され、一部の軌道も残り公開されている。最近の調査によれば工場は1978年に操業停止とのことだったが、訪問当時、まだ軌道は現役で稼動しており辻褄が合わないが、何はともあれ当時の写真を公開いたします。

 上記2枚の写真は軌道の起点である工場。建物の中にはこの軌道の全車輌である6台の台車、外には何故か大きさが異なる車軸が転がってました。

 
 軌道末端のロープが折り返す滑車。
 
 製品を積んだ台車は右側から貨物ホームへ向かい、空の台車は左側から戻って来て渡り線を人力で動かすようです。
 台車は何やら怪しげな形態をしていますが、これはナベトロの「ナベ」を外したものです。クワガタの様な金具はナベトロのナベを載せるものだったのでした。
 レールが太いので軌間が狭く見えます。

 
 軌道の中間地点。作業員は徒歩で移動するらしく軌道の間は歩きやすくなっている。

 
 複線の軌道はホーム上では単線になります。ロープはこんな感じで張られるんですね。

  
 ホーム上にはたくさんの製品が積まれていました。動力源の電動ウインチもあります。そして軌道は終点でカーブしてブルーシートの中へ消えてしまいます。何となく三峰石灰と同じような雰囲気です。

 
 エンドレスロープはレールの下をくぐりウインチに巻かれます。

 
 こちらは工場と軌道と貨物ホームの全景。
 残念ながらこの時、採石場からの軌道の存在を知りませんでした。今ではそちらも見学可能なようですので是非再訪してみたいと思っています。

《データ》
■東亜産業 東北タンカル工場製品運搬軌道 [廃線]

◇岩手県一関市(旧東磐井郡)東山町松川字滝ノ沢146-7◇陸中松川 歩10
◇区間:工場〜陸中松川駅◇距離:約0.2km◇動力:円索◇軌間:508mm◇敷設日:不明◇廃止日:不明
 
◇参考:RM18BEST・トロッコp59,109・全国鉱山鉄道資2

[調査日:1986.03.28]




inserted by FC2 system