■異軌間の謎を探れ!

 国鉄釜石駅から東へ約300メートル歩いたところに複線の踏切があるのだが、良くみると軌間が違っている。レールサイズは同じくらいなのだが、ひとつはサブロクでひとつはニブロクだ。港の方から平行して敷設されている2本の軌道は道路を横切り、製鉄所内へ吸い込まれて行く。サブロクの方はレール表面が光っていて使用されていることが分かるが、ニブロクの方は微妙なサビ具合だ。(しばらく使用していないのか?それとも使用頻度が極めて低いのか?)
 あまり時間が無かったので長居はできず、少しの間、何か列車が来ないか見ていたが結局何も現れなかった。
 公道から製鉄所内を覗いてみると、構内は複雑に線路が敷設されているようだったが不思議な事にサブロクの線路とニブロクの線路はクロスこそするものの、3線区間になることはなく、ほぼ同じ所を並行して敷設されていた。サブロクとニブロクは一体どういう風に使い分けられているのか?
 釜石製鉄所と釜石鉱山は古い歴史を持つ。それらを結ぶ鉄道についの変遷も複雑だ。ニブロクの線路はかつての田中長兵衛釜石鉱山鉄道から始まった鉱石運搬鉄道の流れを汲むものなのだろうか?
 この軌道についてはアクセスが楽な割りには意外とレポートが少なく、参考になるのは伝説の書「知られざるナローたち」くらいだ。それには私が訪れた約3年前のレポートがり、協三製のDLと構内の俯瞰の写真が掲載されている。
 尚、現在はサブロク、ニブロク共に線路は撤去されている。(製鉄所の建屋内は不明)

 ※今回の大震災では釜石駅付近まで津波が達したということなので、この写真のあたりは津波の被害を受けています。

《データ》
■新日鉄滑石製鉄所 [廃線?]

◇岩手県釜石市鈴子町◇釜石 歩5
◇区間:製鉄所内◇動力:内燃◇軌間:1067mm・762mm
◇参考:知られざるナローたちp26(1980.05)

  


上の橋は現三陸鉄道南リアス線
写真右手が海側になる


[調査日:1983.09.01]




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