■車窓から見えた施設を探れ!


 初めて釜石から釜石線に乗った時、陸中大橋駅に近づいた車窓から釜石鉱山関連の施設はないかチェックしていたところ、到着直前の左手に鉱山の坑口が見えて軌道が延びているのが確認できた。しかし、この日は陸中大橋で下車する予定がなかったので立寄ることなく先を急いだ。しばらくして再び東北旅行の際、この軌道を見ようと陸中大橋駅で下車するプランをたてた。
 今回も前回と同じように釜石から陸中大橋に向かう。車窓から現況を確認してから下車態勢に入った。
 陸中大橋駅には釜石鉱山の大規模なホッパーなどの施設があり、鉱山町の雰囲気が漂っている。改札を出て目的地に向かう。目標は車窓から確認しているので方向がハッキリしている。歩くこと約10分で鉱山施設の入口に着いた。
 入口にこの施設名を示す看板などは見当たらず、施設名が分からない。人影も見られず、真っ先に目に入ったのは年季の入ったホッパーだった。コンクリート製、木製、鉄製と3種類のホッパーが仲良く並んでいる。坂を上がりホッパー上部に行くと軌道があった。廃線のようにも見えるがレール上面の錆が若干擦り落ちていて使われた形跡がある。機関車は見当たらないが大きな石を載せた鋼製台車が2両留置してあり、朝顔型の連結器から延びた長い連結棒で台車同士が繋がれている。
 車窓から見えた坑口から延びた軌道はカーブしながら分岐して一方はホッパーに向かって延びているが、その先で再び合流し機回し線のようになっている。坑口の中を覗いて見た。軌道は真っ直ぐ続いているようだが暗くて奥が見えない。風が吹き抜けてくる。何処かに抜けるのだろうか?しばらく調査したがこの施設に関する詳細な情報は得られずに帰路についたのであった。
 この訪問から何年か経ち、トワイライトゾ〜ンに見覚えのある写真が掲載された。坑口とカーブした軌道の様子が酷似している。説明には「釜石鉱山250m坑口」とあり、BLが稼動している事が記載されている。どうやら有名な釜石鉱山の施設の一部らしいが、250mとは標高のことか?鉄道誌などでも良く紹介される釜石鉱山はここより上部にあり、そちらは350m坑口と呼ばれている。私が訪問した6年前の記録であった。
 この軌道をアップするにあたり地図検索したところ、施設名の記載は無いが軌道の印がありました。軌道自体はまだ残っているようです。

《データ》
■釜石鉱山250m坑口 [現存?]

◇岩手県釜石市甲子町第一地割◇陸中大橋 歩10
◇区間:鉱山敷地内◇距離:約0.05km(坑外部)◇軌間:762mm◇動力:蓄電池・人力?◇敷設日:不明
◇01:新釜石鉱山 FC(鋼製2軸台車/762mm)
◇02:新釜石鉱山 FC(鋼製2軸台車/762mm)
 
◇参考:トワイライトゾ〜ンp34-36(1981.03.19)

[調査日:1987.06.13]


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