■廃校に残された石灰石列車を探れ

 八戸セメント(元住友セメント)の工場から軌道跡を辿って新井田小学校、松館小学校を経て最奥の金山沢小学校までやって来た。軌道の沿線にある新井田、松館と違い、この小学校は石灰石採掘場よりも奥に位置しているが、採掘場の大部分が階上町にあり、採掘場から1km足らずの距離にあることから郷土資料の教材としてここに保存されたようで、列車はDL+鉱車3両+人車と全く同じ組み合わせである。ここの機関車は新井田小学校と同じ加藤で、住友セメント専用線で残存している機関車は加藤が2台、プリムスが2台ということになる。
 一応、郷土資料の教材という目的で保存されたものの金山沢小学校は2011年3月をもって廃校となっていた。探索当日、現状がどうなっているのか不安を抱えて向かったが、まだそのままの状態で残されていた校舎の角を曲がった先に列車が見えた時は本当にホッとした。そして近づくと荒れた様子もなく若干の手入れがされていることが伺えた。とは言え、小学校は廃校である。この先、このセメント列車がどの様に扱われるのか?一抹の不安が残るのも事実である。
 保存車輌のデータは下記の通りであるが、車番は展示車輌の車体に実際に記されているものをそのまま記載した。もしかしたら実際の車番とは異なる可能性もある。車輌の横には説明板が立っていた。それによれば車輌達は1973.11住友セメント八戸工場より寄贈されたとある。軌道の廃止も1973年のことなので廃止後すぐにやってきたことになる。40年近く経ってもなお良い状態で保存されている車輌。いつまでも大切に保存されることを願うばかりである。

《データ》
■金山沢小学校跡 [保存]

◇青森県三戸郡階上町大字金山沢字金山沢17-1
 
《車輌データ》
◇01:住友セメント八戸工場 鉱石運搬軌道 8号 DL(加藤 1951年 26496番/B型 7t 610mm)
◇02:住友セメント八戸工場 鉱石運搬軌道 8 FC(人車/鋼製2軸 610mm)
◇03:住友セメント八戸工場 鉱石運搬軌道 297号 FC(鉱車/610mm)
◇04:住友セメント八戸工場 鉱石運搬軌道 237号 FC(鉱車/610mm)
◇05:住友セメント八戸工場 鉱石運搬軌道 438号 FC(鉱車/610mm)

[探索日:2012.11.07]




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