■運炭軌道の側線を探れ@


 現在でも操業が続いている太平洋炭鉱(現釧路コールマイン)の運炭軌道はトロッコマニアでなくとも並の鉄ちゃんなら知っているだろう。私が初めて釧路を目指したのも運炭軌道のノッポELが目的だった。釧路臨海の春採駅から坂を登ると運炭軌道があり、軌道末端はループ状になっていてホッパーをスローで通過する間に石炭を落とし、そのまま採炭地へ戻って行く仕組みだった。そのループ線の片隅から側線が分岐して怪しげな工場地帯へ延びていた。架線が張ってあるのでノッポELが入ってくるのか?それとも別の入換用の機関車があるのか?運転頻度の高い本線とは違い、こちらは滞在時間中に動いている車輌を見ることができなかった。

 

 側線がある地帯は結構な広さがあったが、全面的に立入禁止だったので公道からの探索となったが、運炭軌道本線の味気ない鉱車とは違いこちらの車輌は変テコなのが面白かった。ざっと探索した感じでは資材、機械に関する施設が雑多に建てられているようで、その施設に網の目のように軌道が入り込んでいる。

  

 機関車が入る架線の張ってある部分はレールもそれなりに太く、狭い軌間と反してバランスが悪く見えた。しかし、機関車が入らない部分はレールも細いのを使用していてよりトロッコ的だった。中には超簡易な分岐もある。こんな簡易な分岐を見たのも初めてだったので驚きであった。更にどうやって車輌を上下させるのか理解できないようなインクライン?(高低差2〜3メートルの超急勾配)もある。

  

 今では運炭軌道も廃止されて坑口付近の土場だけに軌道が残っているだけになってしまった。運炭軌道の廃止撤去と共にこの側線も人知れず撤去されてしまったが、ここにあった変テコ車輌たちの一部は坑口土場付近に移動したものもあるかも知れない。

《データ》
■太平洋炭鉱 春採 [現存]

◇北海道釧路市春採◇釧路 バス(春採)→歩10
  

[探索日:1980.07.29]




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