■鉱山軌道の入換作業を探る

 1980年、高校2年の夏休み、根室本線赤平駅に降り立った。目的は地形図に載っている鉱山軌道を探るためだったが、ホームに降り立つとすぐに現実を知ることになる。駅裏手の施設はほとんど残っておらず、廃坑になったのが明白だったのである。それでも東側にある住友赤平炭砿は稼動していることを願って埃っぽい道を歩いた。すると根室本線の踏切の向うに稼動している感じの施設が目に入った。こうなると俄然足早になる。立坑もあった。事前の調査では鉱山軌道が公道を横切る地点があるはずだった。10分以上歩いただろうか?すると何やら遮断機のようなモノが…。良く見ると足元に線路が…。軌道と道路の色が同化していて線路があることに直前まで気づかなかったのである。とりあえず軌道があることが確認できた。
 踏切のところから鉱山施設を覗いてみる。するとBLが確認できた。軌道はまだ現役だ!
 しばらくするとBLが推進運転で鉱車をたくさん繋げてやってきた。係員が遮断機を降ろす。BLは踏切を何度か行ったり来たりして、鉱車を切り離したり、連結したり…。その合間に横からフォークリフトが出て来て、鉱車を線路から持ち上げて、投げるように地面に落とし、逆さまにひっくり返しては中の異物を出しては再び線路上に戻す。真に名人芸だ!BLが何度か行き来を繰り返しているうちに長い鉱車の編成が出来上がった。すると一気にこれを牽引して、立坑の方へカーブして消えた。これから地中に潜るのであろうか?
 BLを運転していたのは女性であった。手際よくBLを操作して入換え作業をする様は見ていて楽しかった。長大編成の鉱車が去った後、しばらくカメラを構えていたがBLは戻って来なかった。列車の時間が迫っていたので踏切を後にして来たときと同じ道を戻った。鉱山自体は1994年まで稼動していたようなので、この様な光景はしばらく続いていたのであろうが、私がここを訪れたのはこの1回きりだった。残念ながら入換作業の楽しいひと時は過去のものになってしまった。

 ※1994年閉山・この部分の軌道は撤去されています。最近のレポートはブログ軽探団(2011.10.122011.10.14)をご覧下さい。

《データ》
■住友石炭鉱業 赤平炭砿 [現存]

◇北海道赤平市字赤平◇赤平 歩15
 
◇区間:鉱業所内◇距離:不明◇動力:内燃→蓄電池◇軌間:610mm◇敷設日:不明(1940年操業開始)◇廃止日:不明(1994.02閉山)
◇参考資料:知られざるナローたちp16-17(1980.02)・全国鉱山鉄道p24(1979.09・1987.11)


この後、地面に落とすと見事に上向になる。

 
一体、何両繋がっていたのであろうか?BLがカーブして見えなくなっても鉱車は続いていた。

 
山の斜面にはボタ山のインクラインが見えた。他にも機械車両や鉱車などを留置した側線もあった。

[探索日:1980.08.01]




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