■製材所軌道を橋上探査せよ!


 高二の夏、初めての北海道は夜行の連泊で、一気に釧路まで行った。バイトで貯めた資金もギリギリだったが体力的にも厳しいと思い、釧路では安価で宿泊できるYHを予約しておいたのだった。早朝からバスに乗って釧路臨海や太平洋炭鉱を見て夕方駅前まで戻った。YHは釧路駅の裏手の川北町という場所だったので根室本線を越える為に橋を渡った。橋の上から下を見ると国鉄の線路の一番端に雄別鉄道の跡が見えた。そして橋を渡りきる少し手前から見えた製材所の中を覗くと一筋の軌道があった。全くの偶然の発見だった。他の橋を渡れば見つけられずに終わってしまったであろう。
 橋の上から観察すると軌間がやや広めのようにも見える。最初は雄別鉄道の側線か?とも考えたが、どうも別モノようだ。台車が1台確認できた。材木を載せて人力で動かしている。機関車の類はなさそうであった。この日は橋の上から観察しただけで詳しい調査はしていない。
 10年以上経った1991年8月30日、予定を変更して釧路に宿をとり、夜になって釧路の街に入った。思い立って、夕食がてら記憶を頼りにここを訪れたが製材所は発見できなかった。見つからないのは記憶違いか、闇夜のせいか?と願ったが残念ながら記憶違いでも闇夜のせいでもなかった。現在、広い製材所跡地はスーパーマーケットになっている。

《データ》
■森製材所 [工場軌道]

◇北海道釧路市川北町1-4◇釧路 歩10
◇区間:製材所内◇距離:約0.05km◇軌間:不明◇動力:人力◇敷設日:不明◇廃止日:不明◇撤去日:不明
 

[調査日:1980.07.29]


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