■小樽の観光倉庫を探れ!

 小樽市にある観光施設「北一硝子」にトロッコ跡が残っていることは良く知られているが、有名な施設故か意外と軌道跡が紹介される機会は少ない。
 初めてここを訪れたのは1991年の事であったが、当時から既に人気の観光スポットで写真を撮るのも苦労するほどであった。その為、2014年に再訪する際は開店間際を狙った。それでもこの通路から人の姿が無くなるのは僅かな時間しかない。
 現在、北一硝子3号館として利用されているこの倉庫は、かつて木村倉庫としてニシンの加工品を保管する為に明治24年(1891年)に建てられたが、その後はニシン漁の衰退により様々な品物が収められたという。木の骨組みに石積による構造の倉庫は頑丈に造られた。そして昭和58年(1983年)に北一硝子3号館として改装しオープンする。ここで素晴らしいのは古い物を極力残して活用した点である。かつて海まで延びていたというトロッコ軌道は館内には明確に残存している。しかし倉庫の外は全く痕跡はなく扉を挟んで全く別の世界が広がる。海が何処にあったのすら分からない状態だ。
 普段は多くの観光客が行き交うこの通路も、トロッコ軌道の存在に気付く人は少ない。とは言え、軌道が埋められる事なく現在でも確認できる事は本当に有り難い事だと感じる。お気軽に探索できるので小樽観光の際は是非とも立ち寄りたいスポットだ。


《データ》
■北一硝子3号館(旧木村倉庫)[廃線]

◇北海道小樽市堺町7-26◇小樽 バ10(浜小樽)→歩すぐ◇9:00-19:00・元旦休業◇入館無料
◇残存区間:館内(北一ホール前)◇残存距離:約0.02km◇軌間:610mm◇敷設日:不明◇廃止日:不明
 
◇参考:RM219

 パンフレット(1991年) PDF 2.55MB
 パンフレット(2014年) PDF 4.33MB

[探索日:2014.10.01]




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